50周年特別企画 Special 50th Anniversary Plans

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日米教育委員会で事務局長を務められているマシューS.サスマン氏に、「グローバル人材の育成」、「海外体験の意義や意味」についてインタビューさせていただきました。

海外との出会い

―これまでのご経験の中で、留学や海外生活を通じて得られたものについてお聞かせください

Matthew S. Sussman

海外との初めての接点は、私が10歳の時にホストファミリーとして受け入れた日本人男子大学生です。私が4人姉弟の中で唯一の男の子で、それを不憫に思った両親が、私に男兄弟を作ってあげようという事がきっかけだったようです。我が家では、その後も毎年スペインや日本からの留学生を迎え、彼らとは本当の家族のような関係を築きました。そのような経験から、漠然と「海外っていいなぁ」と思うようになりました。私が中学生になった時に、突然、父から『来週までに留学先を決めなさい』と言われ、あまり深くは考えず『スペイン』と答えました。するとすぐに父が以前我が家に来た留学学生に連絡をとり、あっという間に段取りをつけて、14歳の時にスペインに行くことになりました。新学期が始まる数か月間、語学研修を受けて、それから現地の高校に通い始めました。当時は、全くスペイン語が話せなかったので、いざ行く事が決まると、不安になり、正直に言えば行きたくない気持ちもありました。しかし、学校が始まってみると少しずつスペイン語が話せるようになり、1年後、アメリカに帰国するころには、英語がすぐに出てこなくなってしまうほどでした。

日本との繋がりが深くなったのは大学を卒業してからです。私が大学を卒業した当時はアメリカ社会が不景気だったこともあり、志望した企業には、残念ながら就職できませんでした。ようやく採用された経理関係の仕事は、クリエイティブなことや人と話すことが好きな私には向かない内容で、仕事に対する熱意を持てずに過ごしていました。また、周りの友人達が、結婚し、家族を持つようになるにつれて、自分の将来に対して少し悲観的な気持ちになっていました。そんな時、最初にホストファミリーとして受け入れた日本人留学生のお兄さんから結婚式の招待状が届きました。当時は20代で独身ということもあり、会社を休んで数百ドルとリュック一つで日本に降り立ちました。

滞在中は、お兄さんの家に2週間ホームステイしました。日本の生活は、何もかもがアメリカと違って、私にとって、とても良い刺激になりました。お兄さん家族たちの温かさに触れ、それまで良く知らなかった日本について、急に興味を持ち始めたのです。

その後一旦、アメリカに戻って仕事を続けましたが、どうしても日本のことが忘れられず、19年前、日本にいくことを決心し、最初は英会話講師として来日しました。一緒に来日した同僚の多くは、数年でアメリカに帰国しています。彼らと私の違いは、若い頃の異文化体験の有無にあると思います。私は、来日後、日本語を一生懸命勉強しました。言語が分かるようになると、より深く日本を理解できるようになり、より一層日本を好きになりました。言語を学ぶことが、その国をより良く理解する第一歩であることを中学時代のスペイン留学から、無意識に理解していたのだと思います。ですからスペインに留学したことも、日本に来たことも、自分とって正しい選択であったと思います。そして最初の留学を後押ししてくれた父には、今でも心から感謝しています。

グローバル人材を育成する意義についてお聞かせください

Matthew S. Sussman

―グローバル人材についてお聞かせください

これからの時代は知識も必要ですが、諸外国との連携が益々重要になってきます。異なる文化・考え方の人たちと一緒に仕事をする機会は益々増えていくことでしょう。その中では、必ずしも正解は存在せず、他の人と上手く協力・連携できなければ、仕事は成り立たないし、次のステップや新しい発見に繋がっていかないでしょう。例えばiPhoneですが、考案されたのはアメリカですが、デザインはイギリス、生産は中国で行われています。またパーツの約6割は日本製だと言われています。そのようにこれからの時代は国境を越えた仕事が求められるでしょう。アメリカにおいてもそのようなグローバルな人材育成の必要性が叫ばれています。グローバルに活躍できる力は、教室の中で先生から教えてもらうものではなく、自分の経験によって培われることだと思います。経験値を増やし自分とは異なるモノや考えに興味を持てるようになるきっかけとして、留学の意義は大きいと思います。

留学には向き不向きがあるので、全ての学生さんに当てはまるとは限りませんが、若い方は、私がそうであった様に異文化での生活にすぐに順応していけると思います。冒険心に富み、自らの意志で海外留学に興味を持つ学生さんもいらっしゃる一方で、中には私のように誰かに背中を押されて留学を決める方もいらっしゃるでしょう。留学の成果は、語学習得だけでなく、各人によって様々な形で花開くと思います。例えば野球もボールを投げてみなければ野球の才能があるかどうかが分からないように、自分が新しく出会う料理、芸術、友人など、実際に異文化に触れて、体験してみて、初めて自分の中でスイッチが入る新しい何かに出会うことがあるかもしれません。

私自身「スペインが大好きで必ず留学したい」、「いつか海外に行きたい」という強い意志があったわけではなく、半ば無理やり父に背中を押される形でスペイン留学しました。しかしあの経験があったおかげで、経験値が高まり、それが自信に繋がり今があると思っています。個人的には若いうちに留学する方で、自分の考え方や見方が柔軟になり、自然と新しいことや考えを受け入れやすくなると思います。留学することで、その後の人生の選択肢が大きく広がると思います。

読者へのメッセージ

Matthew S. Sussman

アメリカでも日本でも最近感じているのが、就職することへのプレッシャーです。学校の成績も資格試験も完璧にこなし、よい企業に就職することが重要と思っている学生が多いように感じています。就職だけに目を向けるのではなく、学生時代に留学したり、楽しいと思うことを追及したり、そのような経験こそ、卒業後の自分に合った仕事や道が開けて行くことでしょう。
日本人対象のフルブライト奨学金は、アメリカの大学院留学が対象ですが、志願者の皆様は、どなたも留学するリスクよりも自分の興味や将来の夢を活き活きと語ってくださいます。そこから未来が開けていくのだと思います。

また、親御さんにもお伝えしたいメッセージがあります。自分自身の場合もそうですが、自分の意志だけで留学を決意する人は、アメリカでも日本でも少数ではないでしょうか。迷っているときには、背中を押してくれるサポーターが必要だと思います。その意味で親御さんや周りの方はぜひ学生さんを後押していただければと思います。海外で自分の力を試せるように。ご自分の力でアメリカ留学への道を切り拓こうとする皆様に、日米教育委員会では、フルブライト奨学金事業に加え、留学情報サービス/EducationUSAを運営し、アメリカの大学・大学院への留学に関する情報提供と相談を無料で行っていますので、是非、ご活用ください。私も3人の子供を持つ父親として、彼らにもぜひ留学という経験を通して、成長を実感できる人生、何事にも興味を持ち明るく前向きな人生を歩んで欲しい、と願っています。

―どうもありがとうございました

  • Matthew S. Sussman
  • 日米教育委員会

    マシューS.サスマン氏(フルブライト・ジャパン) 略歴

    1972年 米国生まれ

    1994年 南カリフォルニア大学 経営学科卒

    1996年    民間企業の英語講師として来日

    1999年    アスパイア・インターンシップ

    日本と英語圏間のホテル研修プログラムの企画運営会社を設立し、2008年に国際交流委員会(ICC)へ事業売却

    2008年    ICCにて事業開発マネージャーとして従事

    2011年    ICCにてディレクターとして従事

    2014年1月  日米教育委員会 事務局長に就任

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